廃道マニアの間では聖地ともいえる「万世大路」
明治初期に作られ、昭和40年代まで現役だった国道です。
歴史的背景などはぐぐっていただければ・・・(-_-;)
なんにしても、今年にはいるまで存在すら知らなかった廃道初心者の私の心もとらえてはなさないのです。
まずは、アプローチ路として東栗子トンネルのすぐ脇からのびる砂利道を登ります。
この道はスキー場跡地の作業道とのことで、索道後を見ることができます。
夏場の劇藪でほとんど見えませんでしたが、何とか写真に納めた。
ものすごい劇藪、がれ場をのぼっていくとこのようなヘアピンカーブに到達。
実はここが万世大路とのT字路。
福島側はきれいに草が生え、立ち寄りがたいことになっています。
木が生えていないことから道だったことはわかりますが、踏み跡もない・・・
ま、後で体力が残っていたらいってみようと思いつつ、先に進みます。
作業道を越えて万世大路に入ると幾分勾配は緩くなりますが、しかし、きつい登りが延々続きます。
休み休み、じわじわ登ります。
延々緑の中を走るので気持ちいいですよ。
あるコーナーを曲がると突如隧道が現れます。
未だに崩壊から免れている二ツ小屋隧道です。
ほけ〜〜っとしていると中から爆音が。
バイクと比べるとその大きさがよくわかります。
車通しのすれ違いも全く問題ないレベルです。
このおじさんとはしばしお話をして別れました。
「上のトンネルまで行ってみようかと」というと
「容易じゃねえぞぉ」といわれました。
知ってます!!
しかし、立派な抗門。
全長384mの無灯の隧道。明かりなしで通り抜けるとなかなか恐ろしいものがあります。
(や、明かり持ってたけどなんとなく)
隧道の闇は夜の闇とは違って独特なものがあります。
一部崩壊し、滝となっている箇所があります。帰りに水浴びしました・・・
二ツ小屋隧道を越えるとそこは街の喧噪から完全に隔離された空間。
一面ただひたすら緑。
現道とは全く違うルートを通るため、車の音は全く聞こえません。
たまに聞こえる人工的な音といえば飛行機のエンジン音。
しばらく下り坂を進むと烏川橋。まだ、4輪車で来ることのできる範囲。
突如現れる真新しい人工物。
この先も深い森がつづきます。
ここまで延々1車線分の轍がつづきましたが、よく見ると平場はかなりの広さを確保していることがわかります。
路肩から真横にのびた枝が丸1車線分の幅を消してしまっていることがわかります。
つまり、元はかなりの箇所で2車線分の幅を確保していたと言うこと。
ここいらが1級国道の廃道。そんじょそこらの道とは訳が違います。
さて、ここが大平集落跡と言われています。
4輪の轍がここですぱっとなくなります。
なぜなら、この直後に万世大路では珍しい路面崩落。
人一人分の幅を残して左右に崩落しています。
その崩落を乗り越えると大平橋。
4輪の轍がなくなったことは心細いですが、踏み跡がしっかりしているのでまだまし・・・
橋のたもとは豪快に崩落し、谷底までまっさかさま。
橋台部分が石造りであるあたりが昭和初期の優雅さを感じます。
銘板は当然のように失われている。
はぁ。空がきれい・・・って、現場ではこの暑さが憎たらしいのさ。
まあ、宿命なのですが・・・これからあの藪に突撃するのです。。。
まあ、そうはいっても踏み跡がありますから・・・どうにかなりますよ。
次なる橋は杭甲橋。
あまり太平橋との違いも見つけられず、特徴のない橋です。
なぜか、灌木を刈った跡が見られました。
どなたか知りませんが、手入れしていただいているようで、感謝です。
排水溝から下を望む。高!
ツタの中から橋の下部を見ようと努力する・・・
この先は延々つづら折れがつづきます。
写真とる余裕がなかったのですが、延々2車線分の広さが確保された平場。
でも、藪に覆われ、わずかに一条の踏み跡があるにすぎません。
さてさて、いよいよ来ましたよぉ。
わかりませんか?先に見える人工物が。
なぜかここは近づいてきたことが気配で分かります。
天然のゲートをくぐりその場へ向かいます。
ああ、もう、道路上だってのにこんなに育っちゃって・・・
隧道手前は沢になっています。
隧道上部からの水を流しているのですが、現役当時はどうしていたのでしょう?
これが、栗子隧道。廃止後40年補経てなおも立派な抗門を維持しています。
二つ小屋隧道と同様に2車線分の幅を確保した非常に立派な隧道。
ちゃりと共に何とか到着しました。
隧道内部は水没しているものの、見える範囲ではよい状態を確保しています。
もっとも、先の方で崩落していることはわかっていますが。
だいぶ朽ちてきています。
扁額はまだまだ衰えを知りません。
昭和10年3月竣工。72年の時を経て今もここにあり。
もはや、頂上は間近なのか、上にかぶるものは少ないです。
ま、間近に見えてまだまだあるのでしょうが。
本来のアーチから内側にコンクリートの縁があることから見ても、後の補強が入っていることは間違いなさそうです。だからこそ、現状を確保できているのか?
隧道出口より福島側を望む。
すでに下界は森に飲まれ人の介在を拒否しています。
自然の強さを感じる景色。
さて、藪こいで帰りますか・・・
ふと見ると、路面に一条の轍。
もちろん、行きに私がつけたものですが、ほかには轍どころか足跡もない。
やはり、夏場に藪こぎに来る物好きはいないと・・・
今回、明らかに時期を誤り、まともな遺構は見つけられませんでしたが、途中見かけた石垣。
ほとんどわかりませんが・・・
アップにするとまあなんとか。
次なる隧道!!ではなく、二つ小屋隧道の反対側抗門
昭和9年は右から書く時代です。
とても暑く、水分を切らして(1.5l持っていったのだが・・・しまったので、隧道内滝をちょっと浴びました。>
冷たくて気持ちいい〜〜〜〜
途中見かけた、わずかな足跡。蹄なので、鹿か猪か。
そんなわけで、福島側完了です。
この道は目立つ遺構よりも、道全体がよい。歩いてみないとこの道の良さはわからないかなぁ・・・
ところで、今回メットの重要性を再確認。藪に打たれまくるので、メットかぶっててよかったと本気で思う。
ちゃり乗るなら、メットは必須。