さて、千畳敷砲台見学のあと、山を下山してきた。
出た先は、超観光地の立待岬。
石川啄木の墓と合わせて訪れる人は多いだろう。
立待岬は、古い墓地を通らないとこれないため、一方通行になっている。帰り道は山沿いを走り、谷地頭に出るルート。
さて、立待岬に向かい、右の山側を見ると・・・ただの笹藪があります。
季節によってはもうちょっとましなんだが。
さて、私のように頭が廃道脳の人には明確に2車線はある道路が既に見えていると思います。
幸い、函館に関しては情報源が豊富なので、聞いてみる。
「あの道っぽいのなんだろう?」
「あー、あれ周遊道路作ろうとしてたんだよね」
と言うことで周遊道路に突撃です。
うわー、ひたすら藪~~~~
激しい笹藪の中にも人、一人分の踏み跡がある。
こんな激藪を歩こうという物好きも結構いるようだ。<おまえが言うな
ふと、左(海側)を見ると、普通の観光地である立待岬の駐車場が見える。
平日だというのに、意外と車いるもんだな。
ひたすら藪のようで、藪が薄くなるときもある。
ふと、山を見上げると、函館山の本気が見える。
一般的には夜景が見えるなだらかなロープウェイで登る山というイメージの函館山の裏は、絶望的な絶壁が続く険しい山だ。
上には、千畳敷にある鉄塔が見えている。
さあ、周遊道路は、この絶壁をどう攻略するのか?
ふと、海側に2本のパイプが立っていた。
明らかに看板用のパイプに見えるが・・・誰も来ないようなこの未成道で何を表示していたのだろう?
海側も観光地感がなくなってきた。
崖、岩場がひたすら続く裏函館山。
人跡未踏の地という感じか?
と言った先から、人跡の形跡あり。
こんなところに、道路擁壁があることもおかしな話だが、しっかりとロープが下りている。
・・・釣り人ですかね?
先ほど見えた入江に降りていくルートがあるのではないかと思う。
先に進もう。
これは、終点か?
前方には崖しかない。
山側をみると、しっかりした擁壁が構築されており、ここまで道路工事がされているのは明確だ。
コンクリ止めされていないのでまだ仮の状態ではあるようだが。
しかし、近づいてみると、やはり、ここが工事終点のようだ。
山に突撃するような形で工事が終わっている。
いまだ千畳敷のアンテナは見えるが、ご覧の通りの高低差。
とてもじゃないが、つながる道路とは思えない。
では、周遊道路計画とはどのようなものだったのか?
では、海岸線沿いに道路が続くのだろうか?
・・・いや~~~~いやいや。
何のとっかかりもないただの崖ですよ。
道路もそうだし、裏函館山は歩けないことはこの写真を見るとよくわかると思う。
泳げない私はどう攻略しろと・・・
さて、後追いで、周遊道路について調べてみた。
本周遊道路の正式名称は、「北海道道675号立待岬函館停車場線」
つまり、函館駅から立待岬を結ぶ道路である。
函館駅から立待岬に行こうとすれば、いろいろルートはあるが、例えば、市電に乗って谷地頭まで出て徒歩で立待岬というのが観光ルートだろう。
しかし、道道675号はおむむろに函館山を登ってしまう。
そして、ロープウェイの頂上駅をかすめて、千畳敷に向かう林道となる。
現在は、私が下ってきた登山道が道道指定されているようだが、本来の目的は周遊道路だったようだ。
どうやら、函館山山頂までの渋滞を問題視して、周遊して車を流せるように計画されたようなのだ。
千畳敷手前で見つけた2車線幅の道路も軍用道路ではなく、この周遊道路の遺構だったようだ。
つまり、千畳敷から、立待岬に降りるような道路を考えていた。
直線距離で考えると、800mで標高差150m
平均斜度はで18%となりあり得ない。
千畳敷から九十九折で降りていくいく形跡が残されているという説もあるが、その位置で降りてもこの絶壁を平行移動する必要があり現実的とは思えない。
結果、自然環境保護のため計画は中止され、渋滞対策としては、交通規制により実現されているのが現在の函館山。
ロープウェイのおかげで観光にも問題はない。
どういう計画だったのかはもっと知りたいと思うが、最終的には実現されず自然が守られてよかったなと思います。