自動車用の冷却材として主要な材料としては、以下の3つが主として使用されている。


 

・エチレングリコール (ホームセンターで売っているクーラント)

・プロピレングリコール (輸入車標準、一部高性能クーラント)

・水 (凍ってしまうこと以外はもっとも高性能)



180319 追記 -------------------------------------

ベンツ純正クーラントの写真を見つけたので、確認。

思いっきりエチレングリコール配合と書いてある。

いくらドイツ語の記載とはいえ、裏書も見ないで間違いを配信しちゃうのはどうなのよ…



というわけで、輸入車用クーラントは、基材というより、防錆剤による違いが大きそう。

-------------------------------------------------------

 

水が高性能なのは明確だが、エチレングリコールとプロピレングリコールの性能としては比熱で見ても大差ないので、正直、なぜ性能が違うのかいまいちわからない。

そこは正直どうでもいいと思い始めたが、他の部分が面白かったので、載せておこう。

 

・凍結温度

水の凍結温度が0度なことは広く知られている(厳密に言うといろいろあるけど、意味ないので言及しません)

自動車の実用温度域は0度以下の場合もかなりあるので、水だけでは凍結してしまう。

固体になると体積が増えるという非常に特殊な水の特性により、凍結してしまうと内部破壊につながってしまう。

 

このため、冷却性能が落ちることはわかっているけども、不凍液としてグリコール系溶液を加える必要がある。

 

プロピレングリコール100%での凍結温度は、-59度。

当たり前だけど、100%が一番凍結温度が低く、水で薄めるほどに凍結温度が上がっていく。

実用的には、-20度程度の40%までだろうか。

 

エチレングリコール100%での凍結温度は、-12.9度。

あれ?そんな温度じゃちょっと寒いところ行ったら凍っちゃうぜ?

実際ホームセンターで売っているクーラントの表記はもっと温度低かったような?

 

調べてみると、エチレングリコールでは、凝固点効果という現象があり、水で薄めることにより、凍結温度が下がるという。

正確には、凝固点降下により、エチレングリコールを混ぜることで水の凍結温度が下がる(エチレングリコールの凍結温度は関係ないの?)。

 

エチレングリコール60%で最も低い温度になるようだ。

そんな現象があることを知らなかった。

凍結されては困ると原液入れると凍ってしまうので注意ですね。

まあ、水と違って凍っても冷却できなくてオーバーヒートするだけで破壊しないとは思うけど。

 

・毒性

水の毒性はかなり低い。よほど大量に摂取しなければ害となることはない。

 

エチレングリコールはメジャーな素材だけども、毒性が強い。

かつ、甘みがあるために、動物がなめてしまうという問題がある。

よって、廃液は管理されなければならないのだけど、個人だと難しいんだよね。

 

プロピレングリコールの毒性は低い。

プロピレングリコールは食品添加物としても使われており、毒性の議論は、食品添加物としてみたときにどうよという議論であって、産業廃棄物としては無視できる程度。

ヨーロッパ自動車メーカーが純正採用している主たる理由はここになるだろう。

 

という訳で、個人運用としては、廃棄のことを考えて、多少コストがかかってもプロピレングリコールを採用するべきかと考えている。

 

・キャビテーション

 

泡が出ると冷却性能が下がって困るのです。

これについては、水も余り性能はよくない。

プロピレングリコールは耐性があるようだが理由も含めてよくわかりません。